国文学科
カリキュラム

最近の主な卒業論文テーマ
[上代]
- 大伴家持の研究 ―四五一六番歌を中心に―
[中古]
- 『伊勢物語』の昔男像
[近世]
- 『南総里見八犬伝』の研究
[近代]
- 国語科と文学の境界―村上春樹「鏡」の場合―
[現代]
- 現代における「文豪」について
[国語学]
- 北海道方言の商用利用の研究
[漢文学]
- 吉川英治『三国志』について
[書道]
- 隷書について ―横画と右払いにおける波礫の変遷―
教員一覧
氏名 | 専門分野 | |
---|---|---|
教 授 | ○松下 道信 | 漢文学/中国宗教思想(道教) |
大島 信生 | 上代文学・国語学 | |
上小倉 一志 | 書道 | |
齋藤 平 | 日本語学 | |
田中 康二 | 近世文学 | 准教授 | 岡野 裕行 | 図書館情報学・現代文学 |
木村 尚志 | 中世文学 | |
千邑 淳子 | 図書館学 | |
助 教 | 平石 岳 | 近代文学 |
吉井 祥 | 中古文学 | |
◯:学科主任 |
ゼミナール(演習)
上代文学ゼミ

大島 信生 教授
基本テーマ
日本最古の歌集、万葉集の研究方法を修得し、作品を正しく理解することが目標。
3年次のゼミでは、訓詁注釈に根ざした万葉集の研究方法を修得します。万葉集は漢字ばかりで書かれており、原本は存在しません。『校本万葉集』や注釈書を丹念に調べて、本文と訓を定めるところから研究は始まります。その本文や訓に異同のある語句や解釈の分かれるところが問題点となります。その問題点について考察を深め、自分自身の歌の解釈を示せるようにします。4年次のゼミでは、3年次に決めた卒業論文のテーマについて研究を進め、卒業論文の完成を目指します。2年間のゼミで、お互いに切磋琢磨しながら学問の醍醐味を味わってもらえたらと思います。
中古文学ゼミ

吉井 祥 助教
基本テーマ
歌集や物語を読み解き、中古文学の研究手法を修得する。
中古文学とは主に平安時代の文学を指しますが、実は様々なジャンルがあり、研究も多種多様です。ゼミでは、歌集や物語を題材に、研究に必要な基礎力を養成します。たとえば、くずし字を読む力、自分で調べる力、本文を理解する力、討論し合う力などです。令和4年度は伊勢の斎宮に関わる歌合の資料を輪読し、実際に歌合も行って楽しみました。ゼミはこうした感動を仲間たちと共有し合う、格別な時間です。
近世文学ゼミ

田中 康二 教授
基本テーマ
江戸時代の文学作品をくずし字で読み、正確に解釈し、作品の魅力を語る力を身に付ける。
3年生のゼミでは、春学期にくずし字の読解力と作品の解釈力を養い、秋学期には各自の関心に応じて文学作品を選定し、作品解析のアプローチを身に付けます。4年生のゼミでは、春学期に研究の対象や方法などを絞り込み、綿密な調査計画と執筆計画を立て、自信の持てる卒業論文を完成させます。
国語学ゼミ

齋藤 平 教授
基本テーマ
日本語を言葉のダイナミックな流れの中で分析的に捉えて解明する。
日本語を分析するといっても、様々な角度からの考察があります。このゼミで目指しているのは、一つの言葉について徹底的にその性格を明らかにしようとすることです。昴(すばる)という星の名がありますが、これは方言で、むつら星とかごちゃごちゃ星と呼ばれてきました。見方によって六つに見えたり、数が分からずごちゃごちゃとした星という名前の付け方がされています。この星がどのように文学作品の中で描かれてきたのかや、生活の中でどのような役割を果たしてきたのかなど、言語科学だけにとどまらず文学や民俗学の方法なども使いながら、言葉の性格を明らかにしていくのです。
書道ゼミ

上小倉 一志 教授
基本テーマ
中国書道史における書体・書風の変遷を石刻資料や歴代能書家の書を中心として学習する。
我々が使用している漢字は、甲骨文・金文に始まり小篆・隷書・草書・行書・楷書とその姿を変えてきました。これら書体の変遷とそこで生まれた書の名品に見られる書風の違いを金文・石刻資料や現存する肉筆資料などを基に学習します。さらに、歴代能書家の書風に大きな影響を与えたであろう時代的背景や地域風土、そして個々の人物像・人間関係などにも触れていくことで、作者がどのような理念を持って書作したのかを探求し、書に対する時代的な考え方の違いやそれによって生み出された独特の表現法を理解していき、その技法を自らの作品制作にも生かしていくことができることを目的としています。
漢文学ゼミ

松下 道信 教授
基本テーマ
漢文の読解力を養いつつ、道教を中心に中国の文化や思想に迫る。
漢文学ゼミでは、『列仙全伝』というテキストを読んでいます。これは太古の仙人から、後世、活躍した著名な道士たちまで500人以上もの伝記を絵入りでまとめたもの。明末に中国で出版されるや、本書はすぐさま日本に伝わり、江戸時代にはよく読まれたようです。漢文学ゼミではこの『列仙全伝』を使い、訓点をたどりつつ、そこに書かれた文章を分かりやすく読み進めていきます。その際、書かれている内容を正確に理解するのは当然ですが、その文章の背景まで迫っていくと、そこには思いがけない発見が待っていることもしばしば。時に深遠で、また時に不思議な道教の世界を冒険しつつ、日本に大きな影響を与えた漢文学について学んでいきます。
図書館学・現代文学ゼミ

岡野 裕行 准教授
基本テーマ
「読書」や「メディア」の観点から、文学と図書館にまたがる領域について考える。
文学作品が読者にどのように受容されてきたのかについて考えるには、私たちの読書のあり方やメディアの発達の歴史を問い直していく必要があります。どういった場所や時間に読者が本を読んできたのかという読書空間の問題、どういった媒体によって文学作品に触れることができるようになったのかという出版流通の発達や印刷技術の変遷の問題、誰が書物の生産・移動・保存に関わってきたのかという文学を提供する側の人たちの問題など、文学作品の流通に関わる出来事を読書やメディアの観点から捉え直していきます。また、読書空間の一つには図書館も含まれることから、司書課程の講義内容とも相互に理解が及ぶような内容を意識します。
近代文学ゼミ

平石 岳 助教
基本テーマ
日本近代文学作品の時代性と普遍性の両方を、様々な資料から検討し理解する。
現代のわたしたちが感じた日本近代文学作品の印象と、作品発表当時の読者たちによる読後感は、大きく異なることもあるし、非常に似ていることもあります。作品には、当時の読者たちだけが気付くような仕掛けや話題があり、それを当時の資料を探ることで追体験していきます。また、ゼミのなかでも作品に対して様々な読み方、感想を持ちます。ひとつの作品に対して、読み手の数だけ感想や解釈が生まれる現場として、ゼミを楽しんでください。