
本学国文学科では毎年フィールドワーク「文学散歩」を実施している。文学作品に登場する場所や文学者ゆかりの地を散策することで、その土地の魅力を感じるだけでなく、作品世界を深く理解することが目的だ。6月30日に開催された文学散歩は三島由紀夫の『潮騒』の舞台となった神島を訪ねた。オープンキャンパスを兼ねたフィールドワークであったため、今回は高校生の参加を初募集。当日は高校生3名、学生35名(院生含む)、教員8名が赴いた。
学生の体験談
今回の文学散歩は神島を訪れた。神島は三島由紀夫『潮騒』の舞台となった地であり、柿本人麻呂が「潮騒に 伊良虞の島辺 漕ぐ舟に 妹乗るらむか荒き島廻を」と詠んだ島であるとされている。 今年は国文学科の学生に加え、初めて高校生が参加する文学散歩であった。神島に到着後、三島由紀夫が滞在した寺田家を訪ね、執筆時に使用した机や映画のポスター等『潮騒』にまつわる品々を拝見した。その後、八代神社、神島灯台、監的哨跡と巡った。『潮騒』の舞台となった場所を実際に歩き、先生方の解説を聞くことで物語の理解が深まった。特に監的哨跡は雨天だったことが相まって、新治と初江の将来を約束するシーンを彷彿させた。また、カルスト地形や古里の浜といった神島の神秘的な自然を見ることができた。 神島を一周するようなルートで歩き、山道や階段の多さに驚きつつも島全体を堪能できる文学散歩であった。実際に舞台になった地を歩くことで、活字だけでは想像しにくかった物語の場面を立体的に五感で味わうことができた。
