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第十回皇學館大學人文學會大会の開催


 平成二十九年七月八日(土)、第十回皇學館大學人文學會大会が開催されました。 人文學會は学術雑誌『皇學館論叢』を契機に発足し、昭和四三年四月の通巻一号刊行以来、来年には五十周年を迎える学会です。本学文学部の教員・学生を中心に、学内外の会員が活動を支えています。 年一回恒例の大会、今年度は若手研究者を中心に充実した研究報告が行われました。当日の報告者・報告タイトルは次のとおりです。

@足立 涼「神社祭式作法「警蹕」の沿革と帰趨」
A工藤 超「上代文献に見られる「狭霧」の研究―『日本書紀』を中心に―」
B京泉勇平「大嘗祭の本質―服属儀礼に対する反論―」
C梅田優歩「寛永期前後の伊勢湾情勢」
D浦野綾子「皇學館大学附属図書館蔵「長野義言尺牘」の基礎的検討」
E武田吉史「大宰府成立前史をめぐって―「那津官家」と「磐井の乱」―」
F桐田貴史「戦国期における勅願寺由緒の形成と主張―美濃国立政寺を事例に―」
G井口日奈 「万葉集巻十九・四一六三番歌「霧立ち渡れ」の解釈をめぐって」

すこし内容をのぞいてみると、神社祭式「警蹕(けいひつ)」の変遷や『日本書紀』の「狭霧」、大嘗祭の本義から寛永期伊勢湾岸の大名配置からみえてくるもの、書簡の検討から浮かびあがる国学者らのネットワーク、大宰府成立前史、勅願時由緒の形成、万葉歌にみる「霧」の表現展開と、さながら再興以来の皇學館の学問を凝集したかのような幅の広さです。 質疑に移ると、それぞれの分野で実績のある研究者から鋭い指摘があり、普段の学修とは違う緊張感に包まれます。それと同時に、準備を重ねてこの大会にチャレンジした報告者が真摯に応えようとする姿勢が印象に残りました。 九時三〇分の開会から一四時三〇分まで及んだ八人の報告終了後、総会が開催され、平成二十八年度決算の報告・平成二十九年度予算の審議が行なわれました。現在人文學會では研究成果のオープン化に向け、皇學館論叢の電子化・公開を進めています。この事業推進について深津睦夫委員長から説明が行なわれ、総会で了承が得られました。またこの機会に人文學會の今後について、総会出席の会員から忌憚のない意見をうかがっています。 そして一五時三〇分より、山本和明先生(国文学研究資料館古典籍共同研究事業センター 副センター長)から「歴史的典籍NW事業の目指す到達点」と題した記念講演をいただきました。 山本先生はご専門の近世文学研究を最初に紹介くださり、続いて世界と比較したデジタル・アーカイブ化の現状を踏まえて、積極的に日本の典籍画像を公開する意義をお話くださいました。競争的な研究資金獲得が求められる趨勢のなか、理系の大規模研究に伍して人文学の存在意義を主張するには、研究成果を市民に向けて、いかにわかりやすく語り、発信するかが問い続けられます。山本先生が身近な話題を紹介しながら熱く語られたのは、人文学の置かれている現況と、従来では考えられなかった果敢な挑戦であり、ようやくリポジトリー事業に乗り出した人文學會大会の講演にふさわしく、聴講したみなさんの心に刺さる内容だったと思います(ご講演の様子は、平成二十九年八月発行の皇學館大学学園報第六九号にも掲載しています)。

 
山本和明先生と深津睦夫先生

講演終了後は懇親会です。なおも足りない質疑の続きが個別におこなわれたほか、同時開催の「館友教員懇談会」の出席者も加わって、にぎやかに夏の宵は更けていきました。
 

懇親会の様子

来年五十周年を迎える本会の活動について、今後ともご理解・ご支援たまわりますよう、お願いいたします。
報告者8名のみなさん


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