宗教学講義
講義目的(要旨)人類の歴史を通して、あらゆる時代、あらゆる地域ににわたって宗教は存在していたし、いまも存在している。そのような宗教の共通点や相違点を理解し、宗教とは何かを問う学問が宗教学である。その方法には、宗教史学、宗教社会学、宗教心理学、宗教民族学、宗教現象学、などさまざまある。前期は、まず宗教研究をリードしてきた人物を取り上げ、彼らの宗教への興味の対象とアプローチの仕方を解説し、その理論を説明し、宗教現象を解き明かすさまざまな方法を学んでゆく。後期は、日本の古代宗教の基層がうかがえる萬葉集の歌などを対象として、「聖なるもの」に対する萬葉人の信仰と儀礼の世界に踏み分け入ってゆこうと思う。
授業内容
【前期】 1、宗教の概念・宗教学の立場と構成 2、宗教学の成立−比較神話学(マックス・ミュラー) 3、宗教の類型と起源−人類学的研究(タイラー、ラング、マレット) 4、宗教と呪術−人類学的研究(フレーザー) 5、宗教と社会−社会学的研究(デュルケーム、モース、グラネ、デュメジル) 6、宗教と歴史−歴史的研究(ペッタツォーニ) 7、宗教と心理−心理学的研究(フロイト、ユング) 8、宗教と文化圏−民族学的研究(シュミット) 9、宗教の機能−民族学的研究(マリノフスキー) 10、宗教と聖なるもの−現象学的研究(オットー) 11、宗教と象徴−現象学的研究(エリアーデ) 12、聖なる時間と空間 【後期】 1、萬葉人と聖なるもの 日と月、 2、同上 森と社、山と樹木 3、同上 海、川、風雨、雷 4、同上 火と水と石 5、同上 植物と動物 6、同上 神代の伝承と現神としての天皇 7、同上 言霊(ことだま) 8、萬葉人と儀礼 9、同上 禊(みそき)と祓(はらへ) 10、同上 旅と手向(たむけ)、農耕と雨乞 11、同上 葬送と霊魂観、他界観 12、萬葉人と呪術、卜占
評価方法前期末・学年末とも、筆記試験・出席状況を総合して評価する。
教科書前期−適宜、プリントを配布する。
後期−『萬葉集』 佐竹昭広・木下正俊・小島憲之共著(塙書房)