更新日20001201

 祝詞作文


倉陵祭 祝詞奏上

〔講義目的〕
 神道の祭祀を構成する諸行事の中でも、祝詞の奏上は、神饌・幣帛の奉献とともに祭祀の中核をなすものであり、祝詞によって祭祀の意義を明かにし、祝詞の中で神々に対する人々の祈りが表出される。作法(祭る形)を身につけることと並び、祝詞作文(祭る言葉)に習熟することは、神々と人々との中執持ちとしての神職となる上で、必須の条件である。
 現代の祝詞は、「延喜式祝詞」を規範とし、表記は宣命書き、原則として文法や語彙は上代語に準じ、音読にふさわしい独特の修辞法が用いられ、厳粛な祭儀の場においての荘重さも要求される。儀礼言語としての祝詞の特徴は保守性にあり、恒例の諸祭では同一の祝詞が毎年繰り返し奏上されるのであるが、現代では、時代の変化に伴い、また氏子崇敬者の願意に応じて、神社内外で執り行われる諸祭儀も多様化し、新たに祝詞を作文する機会も多い。祝詞の作文能力が問われるゆえんである。しかしながら、一年間のしかも多人数の演習で、自由に祝詞を作文できる能力を養うのは困難である。祝詞の作文の上達法は、長年にわたる神明奉仕の経験を積み重ねつつ、先人の祝詞を多く学び、かつ祝詞を多く自作するよりほかはない。そこで、本演習では、祝詞作文の基礎を身につけることを目標として、まず祝詞作文に必要な事項を講義し、その後、各祭祀の歴史と意義を講義し、実際に祝詞作文の演習を進めて行くこととする。

〔授業計画〕
(1)講義概要・祝詞の言葉(現代語と古典語)
(2)祝詞作文の前提
(3)祝詞の歴史・参考文献
(4)祝詞の表記法・敬語法
(5)祝詞の構成・章句の表現
(6)章句の表現
(7)祝詞の用語・修辞法
(8)祝詞の用紙・折り方・書き方
(9)現代祝詞の講読及び作文演習(祓詞)
(10)神社における恒例諸祭(日供詞)
(11) 同上(月次祭、例祭)
(12) 同上(祈年祭、新嘗祭、神幸祭)
(13) 同上(歳旦祭、元始祭、紀元祭)
(14) 同上(天長祭、神嘗祭当日祭、明治祭)

(15)建築儀礼の現代的意義
(16)建築関係諸祭(地鎮祭、定礎祭)
(17) 同上(上棟祭、新殿祭、竣功祭)
(18) 同上(除幕式等)
(19)人生儀礼と祭祀・神前結婚式の歴史
(20) 同上(結婚式・誓詞)、
(21) 同上(安産祈願祭、命名式、初宮詣)
(22) 同上(七五三詣、成人祭)
(23) 同上(厄除祭、算賀祭)
(24)日本人の死生観・霊魂観
(25)神葬祭の歴史と諸問題
(26)神葬祭詞(通夜祭、遷霊祭、葬場祭)
(27) 同上(発柩祭、火葬祭、帰家祭)
(28)霊前祭詞、祖霊祭詞
(29)各種祈願祭(合格、病気平癒、交通安全)
(30)各種奉告祭(就任奉告祭等)

〔評価方法〕
中間試験と秋学年末試験を行う。評価は筆記試験と演習(作文内容)とを総合して行う。課題として提出する祝詞やレポートは、一編につき5点の評価とする。
〔教科書〕
『祝詞作文』       稲村真里著・神社新報社
『祝詞、祓詞及び祭詞』  神社本庁編・神社新報社
『最新祝詞例文集 下巻』 神社新報社編・神社新報社
『諸祭式要綱』      神社本庁編・神社新報社
『諸祭式要綱 続編』   神社本庁編・神社新報社
『神葬祭の栞』 神社本庁編・神社本庁

〔備考〕
奉書(構内売店にて販売)、筆、硯、墨を準備しておくこと。