子どもたちの理科離れが
進んでいる現状を知ったことが、
「理科教育ゼミ」を
選んだ理由の一つでした。

「理科教育学ゼミ」を選んだ理由を教えてください。

私は今、澤先生の「理科教育学ゼミ」に所属し、理科を教えるために必要な知識や技術について学んでいます。「理科教育学ゼミ」を選んだきっかけは、2年次に受講した「理科教育法」です。この授業で子どもたちの理科離れが進んでいる現状を知り、理科のおもしろさを伝えられる教師になりたいと思うようになりました。

「理科教育法」は、二宮さんにとって転機となった授業だったんですね。

そうですね。ゼミ生となってからは、学生に実験を見せたり、解説したりすることを体験し、教えることの難しさも知りました。どうしたら子どもたちの気持ちをきつけ、興味を持たせる授業ができるのか。授業の流れにメリハリをつけたり、話し方に抑揚をつけたり、教材を工夫したり、試行錯誤しました。この経験を通して、指導法についてさらに深く学びたいという気持ちが強くなったと思います。

ゼミでは具体的にどんなことを学んでいますか?

昆虫を使って教材を開発し、その成果を生かした指導法を学んでいます。中心となる活動は、保育所・幼稚園、小学校や高等学校で理科の授業支援を行う「出前講座」。ほかにも、「理科教育法」「児童理科」「生物学」の講義アシスタント、学会への参加、市役所と連携した伊勢市の生態調査など、多くの活動を通じて理科について学んでいます。
また、昆虫の寄生を観察する実験では、蛍光インク上に昆虫の体液を滴下し、UVライトを当てる方式を導入するなど、新しい取り組みにも挑戦しています。

「出前講座」の活動内容について詳しく教えてください。

ゼミ生が小学校などを訪れ、小学1年生の生活科「生きもの大すき」、3・6年生の理科「チョウを育てよう」「生物どうしのつながり」といった教科書の内容に合わせて、生きた昆虫を使った観察や実験を行っています。ゼミ生は、授業を進行する責任者と、子どもたちのそばで実験・観察をサポートする役割に分かれて、授業に取り組みます。

ゼミで学ぶおもしろさ、魅力はどんなところにあると思いますか?

ゼミは、学生が主体となって学ぶ場です。失敗もありますが、仲間と協力しながら成し遂げる達成感、さまざまな人との関わり方など、活動を通して得ることが多く、ゼミでの経験が自分を成長させてくれることを実感しています。
また、「理科教育学ゼミ」では理科や生物を専門的に学ぶため、理科に特化した専門性を身に付けることができます。これは教員になったときの大きな強みになると思います。

特に思い出深い出来事は?

自分が初めて学生の責任者として臨んだ「出前講座」です。サポートする学生によって実験の結果にムラが出たり、人数の増加など突然の変更にうまく対応できなかったり、ゼミ生の連携がうまく取れず、思うようにいきませんでした。経験不足による未熟さを痛感し、その時は落ち込みましたが、次回に向けての改善点が見えてくるなど、失敗から得るものも多いのだと実感しました。

「教員採用試験合格」は通過点。
どんな「教師」になりたいのか、
イメージしながら学ぶことが大切。

ゼミで学んだことにより、「成長した」「変わった」と思うことは?

「教師になる」ということについての考え方が大きく変わりました。ゼミに入るまでは、「教師になること=教員採用試験に合格すること」と考えていました。しかし、ゼミでさまざまな人と関わりながら学んだことで、「自分はどんな教師になりたいのか、そのために必要なものは何なのか」そういうことを意識して学ぶことが重要だと思うようになりました。

大学で学ぶ目的は、教員採用試験に合格することだけではない、ということですね。

はい。私は、「教師とは自分が学んだことを子どもたちに還元し、さらにそれを楽しめる人でなければならない」と考えています。そのためには、教員採用試験の現役合格にこだわって一人黙々と勉強するのではなく、主体的にさまざまなことに挑戦して、たくさんの人と関わっていきたい。子どもに還元できる経験値を高め、教師としてふさわしい人間へと成長するために時間を費やしていこうと考えるようになりました。
回り道は無駄ではないと信じながら、これからもたくさんのことを経験していきたいと思います。

ゼミで学んだことを、今後どう生かしていきたいですか?

さまざまな理科についての論文や学会発表に触れてきたことや出前講座など、ゼミ活動を通じて学んだことを踏まえて、理科の教材開発に取り組みたいと考えています。
また、教員として社会に出たときに即戦力となれるよう、人間性も磨いていきたいと思います。

皇學館大学を選んで良かったと思う点は?

皇学館大学は教師をめざすにはとてもいい環境だと思います。教育学部はもちろんですが、文学部など他学部でも教師をめざす学生が多く、大学をあげて教員養成に力を注いでいる印象があります。「教師になる」という強い意志を持った仲間に出会えることも魅力の一つ。学生たちは互いに励まし合い、切磋琢磨しながら、理想の教師像をめざしてがんばっています。

最後に、将来の夢や目標とする教師像についてお聞かせください。

卒業後は、子どもの人格形成において重要な時期である小学校の教員をめざします。そして、大学で身に付けた知識や経験を生かし、「理科好き」の子どもを増やすことが目標です。具体的には、校外に出る活動にも力を入れて、生き物観察など、子どもたちが自然に触れ合える機会を増やせたらいいなと思います。
また、将来の夢は、生涯現役であること。自分自身も教師という職業を楽しみながら、定年まで教育現場に関わっていきたいです。