授業で学んだ「日本書紀」をテーマに
番組を制作。
学びの先にある達成感が、
好奇心を刺激します。

大学生テレビ局に入ろうと思ったきっかけを教えてください。

「大学生テレビ局」とは、地元ケーブルテレビ局で放送する番組を学生が制作する教育プログラムの一つで、企画からアポ取り、取材・撮影、編集まで、全て自分たちで行っています。私がこの存在を知ったのは「映像発信論」という授業でした。大学生テレビ局が制作した映像作品を見る機会があり、「おもしろそう」と思ったのが活動を始めたきっかけです。それと、将来のために、パソコンなどを使って映像編集するスキルも身に付けたいと思いました。

もともと表現することが好きだったんですか?

そうですね。表現することに興味があったと思います。小学生のときはミュージカル劇団に入り、バイオリンを習い、高校では部活動で箏を経験するなど、これまでさまざまなことに挑戦してきました。大学でも新しいことを始めたいと思い、映像の世界に飛び込みました。欲張りなんですね(笑)。大学でも4年間でいろいろなことを経験したいと思っています。

そういう意味では、大学生テレビ局は自由に挑戦できる感じですか?

はい。1年生でも企画が良ければ採用されて、番組制作を任せてもらえます。機材の使い方や進め方など基本的なことは先輩に指導していただけますが、自分で自由にテーマを考え、企画し、取材・撮影、編集まで手掛けることができます。ただし、自分の企画を通すためのリサーチ力やプレゼン力は必要です。

記念すべき初作品は覚えていますか?

皇學館大学神道学科の中山郁先生へのインタビューです。授業がとてもおもしろかったので、個人的に取材したいと思って企画を出したら通りました。

2作目が、『日本書紀』についてのドキュメンタリー番組なんですね。

2020年は、『日本書紀』が完成1300年を迎えた記念すべき年だったので、『日本書紀』をテーマにした記念番組を作ることは決まっていました。そこで私が神道学科の学生ということで、1年生ながら大役を任されたんです。縁を感じると同時に、プレッシャーもありました。

制作の流れを教えてください。

まずは、膨大な史料を読み込むことから始めました。図書館に通い、先生方に相談しながら準備をして、番組構成を考えていきました。取材も日本全国に行きたかったのですが、コロナ禍ということで制限があったのが残念でした。

制作期間はどれぐらいかかりましたか?

9月からスタートして12月に納品しました。4か月かかりましたね。通常は1〜2か月で完成するので、制作期間は長い方だったと思います。それだけに、完成したときの達成感は格別でした。

大変だったことはなんですか?

撮影に必要な展示物の借用申請書の作成でした。歴史に関する番組作りでは、これが実は大変なんです。撮影する資料の貸出先は博物館や神社が多いので、借りるために一つひとつ申請書を作成しなくてはいけなくて。相手の方とのやり取りに手間と時間が必要でしたし、量も多かったので、大変でした。
構成を考えるのも難しかったですね。テーマが壮大で資料も豊富なので、どう整理したら興味深い内容になるのか、苦心しました。
大学内にある神道研究所でも資料をお借りして撮影したのですが、これも大変でした。量が多かったこともありますが、資料を美しく撮ることが難しくて、すごく時間がかかってしまったのです。結果、自分では満足のいく仕上がりにならなくて、自分の技術の未熟さを痛感しました。反省点の一つです。次はがんばりたいですね。
完成した番組は大学テレビ局皇学館大学TV第79回「日本書紀 千三百年 一書に曰く(あるふみにいわく)」がYouTubeにアップされています。

良かったことは?

私は兵庫県出身で、大学入学を機に三重県に来たのですが、コロナ禍ということで伊勢市からあまり出る機会がなく、ほかの地域についてあまりよく知りませんでした。今回、取材で亀山市や熊野市を訪れることができ、三重県のさまざまな面を知ることができたのは良い経験でした。歴史を学ぶうえでも、その土地の風景や空気感などを、実際に見て感じることの大切さを実感しました。

神職に役立つ知識と経験を
身に付けるため
たくさんのことに挑戦し続けます!

次に挑戦したい作品について教えてください。

2つありまして、1つ目は、町のレトロな銭湯にスポットを当てた番組です。2つ目は、三重県志摩市出身の女性落語家ドキュメンタリーです。銭湯も落語も個人的に好きなものなので、ぜひ挑戦したいと思っています。昭和のレトロな日本文化が大好きなんです。

日本文化への興味が、神道学科に入学しようと思った理由だったんですか?

七五三で神社に参拝したときに、神社の風景や建物、巫女さんの美しさに興味を抱き、やがて神社に携わる仕事に就きたいと思うようになっていました。高校を卒業したら巫女さんになりたいと本気で思っていたくらいです(笑)。高校3年の進路相談で担任の先生に皇學館大学を勧められ、オープンキャンパスを体験し、ここで学んでみたいと思い入学しました。今は、神職になることが目標です。

大学で好きな授業は?

神社について知りたかったことを、授業で学べることが本当に楽しいです。神社の歴史や建物の意味、神社祭祀における基本的な「作法」についても学べることが新鮮でした。好きな授業は、「皇室概説」と「神道福祉論」。宗教とケアの関係がとても興味深かったです。

最後に、卒業後の目標をお聞かせください。

神社への奉職をさせていただくことです。でも、そこだけにこだわらず、幅広く神社に関係する仕事に就けたらいいなと考えています。できれば、専門知識を生かしたり、情報を発信したり、大学でキワメたスキルを発揮できたらいいですね。