大学での飛躍を後押ししたのは、
人生をかけて走る覚悟と、
競技に集中できる環境。

川瀬さんは、大学在学中、駅伝をはじめ多くの種目で好成績を残してきました。
ランナーとして活躍する場に皇學館大学を選んだ理由は?

「選手の可能性を引き出すため、さまざまなことに挑戦させる」という日比監督の指導方針に魅力を感じたからです。私も、「短い距離から長い距離まで、一つの種目に絞らず幅広く挑戦したい」「自分の可能性を狭めたくない」と思っていたので、自分がめざす競技の方向性と合っている、ここには強くなれる環境があると直感しました。

日比監督はどんな方ですか?

駅伝に対して熱く、親身に指導してくださる方です。監督と出会って、練習にしっかり取り組めるようになりました。

大学では、具体的にどんな練習をしてきたのですか?

種目を限定せず、幅広い距離に対応できる練習に取り組んできました。練習メニューは、監督の指導のもと大まかな内容は決まっていましたが、それをベースに自分で考えながら工夫して独自のメニューを作って練習していました。内容や時間は、レース前後や状況によって変わりますが、朝は6時15分ぐらいから1〜2時間、午後は授業後の夕方から2〜3時間ほど。毎日20〜30kmは走り込んでいたと思います。

大学在学中に取り組んでいた種目は?

駅伝のほかに、5,000mと10,000m。スピードを強化するため1500mにも取り組んでいました。大学3年の秋には、5,000mと10,000mで東海学生記録を更新するなど、自己記録を大きく伸ばすことができました。

2020年12月には、トップ選手が集結した日本陸上競技選手権大会5,000mで見事4位に入賞。タイムも13分28秒70と、日本学生歴代記録8位となる好記録でした。ここまで成長できた理由は何だったのでしょうか。

実業団で走りたいという目標ができ、「陸上に人生をかける」覚悟を決めたことが大きかったと思います。そこから食事面を改善し、ケガをしても焦らずじっくり治療するなど、身体をきちんとケアしながらフィジカルトレーニングをするようになりました。距離の長さに関係なく多くのレースを走ったことにより経験値が上がったことも、良い影響を与えたと思います。
それと、心も強くなりましたね。言い訳をしなくなりましたし、物事を前向きに考えられるようになりました。すると記録も良くなり、さらにメンタルも鍛えられる。この相乗効果を実感した4年間でした。ケガもしてきましたが、トレーナーの方にケアしていただいたり、メンタル面では監督に相談して乗り越えたり、多くの人に支えられました。

駅伝で学んだのは、
「責任感」と「献身」。
記録だけでなく
精神面も成長させてくれました。

駅伝でもすばらしい成績を残していますよね。第52回全日本大学駅伝では、並み居る強豪選手を抑えて区間賞。東海学連勢としては39年ぶりとなる区間賞獲得は快挙でした。何より、大会史上最多の17人抜きは見事でした!

私としては、区間記録を更新できなかったことが残念でした。目標タイムには届かず、1位で3区に襷をつなぐことができなかったですし、個人的には満足のいく走りではなかったと思っています。

駅伝では、どんなことを目標にしていましたか?

全国で戦うことを目標に、関東の強豪校に負けたくないという気持ちをモチベーションに、厳しい練習に打ち込んできました。私は皇學館大学で、選手として大きく成長させてもらうことができました。良い結果を出すことは、その恩返しになる。そんな思いも込めて、私にとって最後となる駅伝を走りました。

<第52回全日本大学駅伝対校選手権大会・結果>

開催日
2020年11月1日(日)
コース
愛知県名古屋市熱田区の熱田神宮西門前から、
三重県伊勢市の伊勢神宮内宮宇治橋前までの8区間106.8km
成績
皇學館大学17位(5時間27分25秒)
2区 区間賞
川瀬翔矢(31分24秒)

大学の競技生活で思い出深い出来事は?

やはり駅伝ですね。みんなで一緒にきつい練習を乗り越え、同じ目標に向かってがんばってきました。仲間との切磋琢磨は、良い刺激になりましたし、貴重な経験になりました。そして、陸上部の仲間は、ライバルでもありますが、絆を感じられる存在でもあります。寮で生活も共にしていたので、お互いのことを深く理解していました。駅伝をするうえで影響は大きかったと思います。
陸上選手として上をめざし、挑戦し続けられたのは、監督と仲間の支えがあったから。駅伝は一人ではできない競技です。みんなのためだから限界を越えた力を発揮できる。責任感と献身が、自分を成長させることを学びました。

今後の目標についてお聞かせください。

オリンピックと世界陸上に出場することです。その第一歩として、実業団Honda(ホンダ)で陸上を続け、ニューイヤー駅伝での優勝をめざしています。人生をかけて走っていますので、悔いのないよう、全力で駆け抜けたいと思います。走りをさらにキワメて、有名になります!