伊勢志摩百物語~渚・港を歩き憩う~
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- 6 - 五十鈴川の河口から1km程上流の右岸、淡水と海水とが入り混じる汽水域に、神宮の塩田である御み塩しお浜はま(二見町西)はあります。浜と言っても凡そ30m×40m、面積約1200㎡の塩田で、潮の干満を利用して海水を引き入れる入浜式塩田です。毎年7月には、白い木綿の作業衣に身を包んだ奉仕員が砂を反転させたり、均ならしたりする姿が見られます。イオン交換膜法が普及した今日では、まず見られない稀少な光景でしょう。ここで鹹かん水すいと呼ばれる高濃度の塩水をつくると、1.5㎞ほど東にある御塩殿神社(二見町荘)へ運び、鉄窯で煮詰めて荒塩をつくり、三角錐の土器に詰めて焼き固めます。出来上がった堅かた塩しおは、御み塩しお道みちを通って外宮に搬送され、神様の御供え物として用いられるのです。 ところで御塩浜は、なぜこの場所にあるのでしょうか。汽水を使った方が塩の品質が良くなるという理由もあります。しかし、実は元々は御塩殿神社裏手の海岸にあり、古くは打うち越こし浜はまと呼ばれていました。鎌倉期黒木の鳥居と四角い塩の浜。神宮御料の塩づくりは昔ながらの製法で行われます。3.御塩浜 (伊勢市二見町)周囲に葦が茂る塩田

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