伊勢志摩百物語~渚・港を歩き憩う~
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- 20 - 志摩市阿児町国府に、年間を通じて多くのサーファーが訪れる海岸があります。我々が調査に出掛けたのは10月下旬。少し肌寒い日でしたが、かなりの人がサーフィンを楽しんでいました。海岸は「国府白浜」と呼ばれ、かつて志摩国の国府が置かれ、国分寺があったことから命名されたといわれています。浜長がおよそ3kmあり、遠浅で緩やかなカーブを描いた海岸です。近くには「阿児の松原」と呼ばれる黒松が海岸に沿って植えられています。この松林は、細かな砂粒が海風に乗って飛来してくるのを防ぐ防風林としての役割を果たしています。 国府白浜といえば、歌聖として知られる万葉歌人の柿本人麻呂が和歌で詠んだ「あごのうら」の遺称地ともされます。『日本書紀』には、持統天皇6年(692)3月天皇が当地方を行幸された時、志摩国の80歳以上の百姓男女に一人50束の稲を与えたという記事があります。その際に、飛鳥の京に残った柿本人麻呂が旅にこの浜は柿本人麻呂が和歌に詠み、万葉集にも収められました。どれほど美しい浜であるのでしょうか。10.国府白浜 (志摩市阿児町国府)緩やかなカーブの浜

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