伊勢志摩百物語~知られざる小さな滝を訪ねて~
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- 26 - うっそうと樹木が茂る的山。その山腹に知られざる滝があります。静かな的山の中で、静々と流れる滝には、正式な名前はついてはおりませんが、その周辺の地名が「山神」と呼ばれていたことから、山神の滝と言われてきたようです。滝が流れる様子は、上品でありながらもどこか神秘的に感じます。山神の滝のある山神地区には、以前は別の滝も流れていたようで、ふもとの山田寺の仏像である瀧見観音が山中に佇んでいます。この滝のさらに上流には、氷室洞くつと呼ばれる泉が湧き出る岩窟があり、古くには斎王がお使いになる氷を貯蔵されていたという言い伝えが残されています。その傍らには、倭姫命が祝い定めたと伝わる神宮摂社の鴨神社が鎮座しています。 この場所の地名「山神」とは、山中に山の神様が鎮まっておられることから、ついたものとされています。山の神は、日本途絶えることなく、流れる滝の様子からは、ただ豊かなことのありがたさを感じます。山神の滝13.山神の無名滝 (度会郡玉城町)Unnamed small waterfall in Yamagami(Tamaki town)From these flowing waterfalls we are able to appreciate the richness of nature.

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