伊勢志摩百物語~知られざる小さな滝を訪ねて~
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- 16 - 宮川の上流、宮川ダムを越えて大杉谷の登山口へ至る道中、ふいに水の流れる音が大きくなって聞こえてきます。六十尋滝からの落水の音です。案内板には天文10年(1541)遷宮の御用材を切り出す御杣山に定められ、その搬出の為の地図作成の際に発見されたとされます。滝上から網を下げて高さを測ったところ、凡そ60尋(1尋=150cm)あったことからこの名前が付けられたとされています。 ここ大杉谷を囲む山々には天狗滝、不動滝、魚止の滝、レンガ滝など実に多くの滝が存在しています。江戸時代から明治中期にかけてのこの辺りの村名にも小滝村、神滝村、滝谷村といった「滝」の付く名前が多くつけられていて、現在は大字名として残されていることからも、古くから滝が多く存在し、また人々に認識されていた表れだと考えられます。 江戸時代末期に書かれた伊勢国の地誌である『勢陽五鈴遺響』の多気郡の大杉の項目にも「滝屋より一丁許至り、宮かつて神宮の遷宮御用材を伐きり出していた御杣山から流れる名瀑8.大杉谷の六十尋滝 (多気郡大台町)六十尋滝の全景Rokujuppiro-daki in Osugidani (Odai town)A waterfall that flows from a mountain that was cut out of material used to rebuild Jingu.

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