伊勢志摩百物語~名木・奇樹を訪ねる~
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- 12 - 外宮の表参道、火除橋を渡ってすぐ右手、奥まった所に清盛楠はあります。手水舎の反対側にあるためか気づかずに進んでしまう人もいますが、幹が中央から真っ二つに割れたような姿は一見の価値があります。樹齢推定1000年、樹高10m、幹回り9m、二本とも独立した別々の樹幹に見えますが、元は一本だったと伝えられています。 なぜこのような姿になったのでしょうか。昭和34年の伊勢湾台風が原因とも言われていますが、昭和4年発行の『宇治山田市史』には既に現在の状態であったとの記載もあります。おそらく老齢に達し腐朽と破損が起こり、且つ台風がそれを促進したのでしょう。いずれにしても、人為でなくして今の姿になったことには驚く他ありません。 クスノキの語源には諸説ありますが、一つは「奇くすし」に由来するとされます。これは「不思議な」「霊妙な」といった意味あいで、クスノキは御神木としてもしばしば外宮に佇む平氏ゆかりの老樹。二本の幹に別れた不思議な姿には、誰しも見入ってしまうでしょう。6.清盛楠 (伊勢市外宮)大切に支えられています

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