伊勢志摩百物語~渚・港を歩き憩う~
25/32

- 23 -が連なる局つぼねヶが頂ちょうと相賀浅間山が見えます。 南伊勢には浅間山と名の付く山が多く、相賀浅間山もその一つです。また、登頂した所からは相賀浦を一望できます。鏡面が閃ひらめくように光輝く海と弓なりの渚、そして濃こ緑みどりの山のコントラスト、まばゆいばかりの景色は、まさしく「あばばい」としか言いようがありません。(あばばいとは志摩の方言で眩しいことをいいます) 穏やかな漁村、大池や庭浜といった自然に囲まれていると、なぜか懐かしささえ覚えてしまうのは気の所為でしょうか。郷愁を感じさせるこの町には、詩人・野口雨情が来遊しています。雨情は本居長世や中山晋平と組み、『十五夜お月さん』、『七つの子』、『シャボン玉』など、珠玉の童謡を世に送り出した人として知られています。雨情は「童謡の正しょう風ふうは土地の自然詩でなくてはなりません」と常にいい、風土に立脚した素朴な感情を歌詞に表現しました。「波にぬれぬれきみ網曳いて女ながらも夜を明す」と刻まれた詩碑が相生橋の傍らに建立されています。雨情独自の土の香りがする詩と潮香る相賀浦、この浜は人の思いを繋ぐ浜のようです。(臼杵 浩秀)■アクセス宇治山田駅前から五ヶ所行バスへ、相賀浦行バスに乗り換えて終点で下車。■周辺の見どころ◉海ぼうず◉南海展望公園庭浜大賀神社の古木相賀浅間神社ネットワークリゾートなんせい相賀浦海水浴場止ノ鼻相賀浦722722

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る