伊勢志摩百物語~渚・港を歩き憩う~
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- 13 -鎧崎 国崎海水浴場パールロード鳥羽展望台128750して定められました。そのため、この一帯は御み食けつ国くにと呼ばれていて、神宮御料鰒あわび調製所があり、神宮の三節祭の由貴の大御饌に供えられる、鰒、栄さざえ螺の御贄を奉っています。ここで調製される鰒は三種類あり、熨の斗し鰒あわび、生き鰒あわび、干ほし鰒あわびとよばれています。熨斗鰒をつくる技法は、父子代々受け継がれています。 集落の中腹にある海あま士かづき潜女め神社では、この鰒を奉ったとされる伝説の海女「おべん」さんを祀っており、豊漁や海女漁の安全を古来より祈ってきました。また、この神社は海の魔物から身を守る御利益があるといわれており、日参する海女さんも多くいます。 国崎には、「のっと正月」と呼ばれる正月の終わりを告げる行事があります。「のっと」は祝詞に由来するものと言われています。その次第は、歳神を藁わら船ふねに乗せて海へお送りし、家内安全や豊漁などを祈願するもので、国崎の各家の女性が中心となって執り行います。全国的にも珍しい行事であることから、国の無形民俗文化財に指定されました。女性のほとんどは海女さんで、まさに海と共に歩んできた国崎の歴史を象徴するものといえます。 鎧崎は、倭姫命のご巡幸のころから海の幸が豊かで、その海の恵みを神宮に奉納してきた歴史があります。神様と海女さんのつながりの伝統が、これからも継承されていくことを願っています。(掛川 拓海)■アクセス伊勢市駅から三重交通バスで鳥羽駅へ、鳥羽駅発かもめバスで国崎バス停留所で下車、徒歩12分■周辺の見どころ◉鎧崎灯台…鎧崎の暗礁を照らす灯台。灯台から望む太平洋の眺めは圧巻。。◉海士潜女神社…伝説の海女おべんを祀り、海女や漁業関係者から篤く信仰されている。歳神を藁船に乗せて海へ送り出す海士御潜神事に参列する海女達倭姫御巡幸旧跡の碑

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