伊勢志摩百物語~知られざる小さな滝を訪ねて~
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- 2 - 内宮の宮域内を流れる五十鈴川と島路川の合流点である河かわ合あいで瀧祭神は祀られています。御門と御垣の内側に社殿は無く、石畳の中央に三角の石が据えられているのが特徴です。延暦23年(804)成立の『皇太神宮儀式帳』にも「御みあ殿らか無し」とあり、1200年以上前から社殿を設けない形式が保たれてきました。御祭神の瀧たき祭まつりの大おお神かみは、五十鈴川の水源の瀧の神と考えられています(『神宮要綱』)。 実際に上流に向かって県道沿いに進み、高こう麗らい広びろ付近の支流を東方へ遡ると「大滝」が存在します。『宇治山田市史』によれば「高さ六丈九尺、巾四尺(高さ20m巾1.5m程)」「五十鈴川の水源を成す」とのこと。また龍神が住むとの伝承もあり、地元の人々によって年に一度、大滝祭が行われています。なお神宮の宮域につき、一般の立入は禁止されています。ちなみに瀧の原義には、崖の上から流れ落ちる水、つまり「瀑布」だけでなく「急流」の意味もあります。江戸中期の外宮神宮の清らかさを象徴し、流域を豊かに育んできた五十鈴川。この川には神が坐まし、神宮では手厚い祭祀が行われています。Takimatsuri-no-kami in Naiku (Ise city)Isuzugawa River symbolizes the purity of Jingu and has nurtured the development of the Isuzugawa basin.The river is respectfully worshipped by Jingu as it is believed that ‘Kami’ resides in this river.1.内宮の瀧たき祭まつりの神かみ (伊勢市・内宮)瀧祭渕

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